天使からのおくりもの -- 冬野 凛様より〔Hello,hello,番外編〕 しんしんと降る雪は音をかき消して無音と銀色の世界を創る。日常とは切り離されたような美しく広い空間は、聖夜を祝う天使たちが羽を降らせているに違いない。 エドワードは寝室のカーテンの合わせ目を僅かにずらし、硝子窓ごしにヒイラギに積もりゆく純白と紅い実を見つめている。部屋はとても静かで、ときおり薪のはぜる音だけがエドワードの耳に届くくらいであり、灯りは 『かえってこない』 軍も警察も年末は忙しく、エドワードの待ち人は軍の上層部に所属しているため、最近は彼が眠っている間に帰ってくるのが日課になっている。朝に目覚めたときはもう出勤の支度に追われていて、それでも額や瞼にキスをして行ってくれるその人が、エドワードは大好きなのだ。 ぺたり、と寝台からエドワードの脚が下りて床につく。握り締めている毛布は手離さずに、引きずって廊下に続くドアを開ければ、冷気が入り込み彼の体温を奪う。さらに、氷と思うくらい冷たい木目の廊下は、裸足には 今回の冬で十九を迎えるエドワードの体は、十三歳の子供並みに小さく、成長期に充分な栄養を摂れなかったこととトラウマを無言で物語っている。本人にしかわからないであろう当時の苦痛は、今でもほんの僅かに尾を引いているのか、未だ歌う以外に声を出せずにいる。 つま先まですっぽり覆う柔らかな毛布はすぐにエドワードを温め、彼は両膝を抱える腕に冷えた鼻先をすり寄せる。 『まだかえってこない』 雪が積もりすぎて帰れないのかも知れない。或いは事故に遭ってしまったのかも。 「The god and I are praying to meet my dear person. If it is loveless, I cannot live. Hello. Hello. Fa la la la la…」 胸のうちに湧きいずる恐怖を拭おうとエドワードは天井を見上げ、類い稀なる美声を二階建ての家隅々まで響かせて、凍てついてしまった世界を優しく溶かす。一度歌い終わっても、続けて歌う。 かちゃん、と鍵のあく音がしてエドワードが反射的に立ち上がれば、毛布が肩からすべって足元に円を描くようにして落ちた。 ドアが開ききる前に、エドワードは自宅に帰ってきた人物に飛び込む。純白の羽毛だらけになってしまった黒いコートをしがみつくように握る。顔をあげれば、驚いた表情で彼を見る黒眼とぶつかる。 『おかえりなさい、ロイ』 「なっ、何やってるんだ……こんなに寒い夜中に!」 後ろ手でドアを閉めたロイはエドワードを抱き上げ、拾った毛布でしがみつく体を包んでやる。細い腕が濡れた黒髪をかかえて、男の視界を覆ってしまえばロイはたちまち歩を止めてエドワードの顔をうかがう。それは今にも泣きそうで。 「心配してくれていたのか。ありがとう。まさか起きてくれているとはおもわなくてね、電話も寄越さなかった。」 エドワードは唇を触れるだけのキスを受け、舌先でかたちのよい山形の唇を舐められる。首に回す力を込めれば、苦笑いをされてしまった。 「甘えてくれるのは嬉しいのだけれどね、エド。私の視界を塞いでしまってはどこへも行けないよ。」 体位をずらしたエドワードは自分の寝室に運ばれて、優しく寝台の上に座らせられる。眼でロイの動きを追えば、ハンガーにコートをかけている彼が視線に気付いて、ん、と見返す。薄い唇が美しく弧を描き、寝台に片手をついて蜜色の髪に触れる。 「一緒に風呂でも入るか?」 『いいっ!』 耳まで真っ赤になったエドワードは慌てて頭を横にふる。かさついた指先がゆったりとばら色の頬を撫でて、耳たぶを白い歯に齧られた。熱い吐息が注がれて脳は瞬時に沸騰してしまう。 「じゃあ、一緒に寝ようか?実は、部下に無理を言って明日…じゃなかった、今日休みにした。食べそびれたブッシュ・ド・ノエルや甘いチョコレェト。口の中でとろけるヴァニラアイスも買いに行こう。フルゥツ味のキャンディも。」 囁かれながら腰を抱かれて、抵抗できる力加減で寝かせられる。白い “I love you .” ロイの背中で単純な 炎が微笑むようにやさしくゆらめいて、どこからともなく真白な羽一枚が床に舞い降りた。 冬野 凛様からいただきました、ステキすぎるクリスマスプレゼントですオーイェス!!(何 Hello,hello,の番外編ということで、嬉しくうれしく拝見させていただきました〜><//えへへ! 時期的にといいますか感覚的にぴったり合うのはハローの続編連載のGlitter Song(裏園にて連載中)なんですが、折角なので表にUPさせていただきましたvv なんといいますかとっても御洒落な文体ですね・・* 私には到底書けない類です・・!笑 ロイさんを健気に待つエドワドたまがめちゃくちゃ可愛いですギュンギュン!!! 冬野さん本当にありがとうございました!// |