冷たいベッドに潜り込む。ギシ、と軋んだベッドがわざとらしい歓待を見せる。 『ようこそ、夜の闇へ』。 深閑とした静かな部屋。電子音のような鬱陶しい耳鳴り、ちょっと感傷的になる。 消灯時間はもう過ぎて、生徒たちにとってはこれからが遊興の時間帯になる。教員たちもその遊興を制するべく東奔西走する、おそらく修学旅行の中で最も忙しい時間だ。オレは、繰り広げられるその慌しい事態の範疇の外にポツンといる。 側の壁の向こう側から、楽しそうな笑い声が嫌味に響いてくる。それを聞くのが嫌で、枕に顔を埋めて布団を頭まで被ってしまった。 一人の布団はこんなに冷たい。 枕のシーツが厳然と放つ無機質で人為的な匂いが、オレはなんだか好かなかった。知らん振りしているかのように、オレを寂しい心地にさせる。 一人の夜はこんなに長い。 自分の体温だけで保温する、この閉鎖的なぬくもりにも、もう慣れなくちゃいけない。来年には、一人暮らしになるんだから。そしたらずうっと、この孤絶な温度を体感し続けることになるんだから。 安普請な建物の薄い壁が届ける、隣室の哄笑に胸がちくりとした。睡眠にうつる過程にはなんの支障も来たさないその微かな音が、すごくうるさいと思った。 そして──できることなら、オレだってあの輪の中に入ってみたかった。当然のように一人部屋にまわされる自分が不甲斐なくて情けなくて、耳を塞いだ。隣室の哄笑と、自分自身から逃げるように。 (オレは、) オレは、ずっとこうして、他のクラスメートから隔絶した夜を過ごすのかな。高校でも、これは不変なんだろうか。 暗澹とした不安と懸念の錯綜、この気分はたぶん、“憂鬱”。 人っていうのは案外弱い。弱くて脆くて、自分で思ったよりもずっとずっと、他人を必要としている、というのを知ったのは、高校に入ってからだった。 オレは違うと過信していた。こんな状況下に慣れようとすることによって、何故だか強くなった気がしていた。でも本当は、そんなこと全然なくて、寧ろ、この枕の無機質な匂いとか隣室の哄笑とかそれを咎める教員の声とかが、オレの心を少しずつ欠けさせて弱体化させていたんだ。きっと。 弱虫なオレは息精張って、意固地と頑固と自負心で固めた盾を翳し、強いフリをした。 一人で平気な人間なんて、いるはずも無いのに。 きっと、自分は思いのほか弱くて、驚く。温かいものに縋りつこうとする。そういう反動みたいな強力な引力に、逆らったり抗ったりする術なんてオレは持っていなかった。 --第八便-- そんな訳で。今日は喧嘩をして仲直りをして、オレが甘口カレーを作った。 空になったカレー皿がふたつ食卓に並んで(甘口にしたのに、それでも辛いとロイは文句を垂れていた)ロイの足の間に座って凭れながら映画を見たら、歯を磨いて風呂に入って、商品が標榜するキャッチコピー曰く「カラーリングなどで傷んだ髪に優しいマイナスイオン」が出るらしいドライヤーを胸に抱えて、ててて、とロイに駆け寄る。 とりわけ夜は、とても人が恋しくなる──これは、“反動みたいな強力な引力”のせいだ。絶対、そう思う(だってオレは実家ではこんなふうじゃなかったはず)。 そんな奇妙な引力に対抗しうる術などオレの手中にはなく、結局オレはそれに屈して、そして甘んじて、ドライヤーをロイに差し出す。 ロイは黙ってそれを受け取って、そばにあったコンセントに繋ぎ、ぶおーっという暖風を産出する。「そろそろ自分でできるようになれよな」 そのお咎めをオレは無視して、お決まり、といったかんじでロイの腹部あたりに抱きつく。 ロイの、少し大人びている匂いが鼻をかすめて、勢い良く走り出してくる暖かな風がオレの髪とワルツを踊る。アンドゥ、トロワ。 そのワルツを子守唄に、オレがうとうとまどろんだ。と、その途端、風のワルツが止んでしまった。 「はい、終わり」 その言葉に、オレが無念そうにロイを見上げた。「もう終わり?」 なんだか今日は早いような・・・。“アンドゥ、トロワ”でワルツが終わってしまった。 せっかくまどろんでいい気持ちだったのに、とオレが肩を落とすと、「嘘、まだ半分余ってる」とロイがタネ明かしをした。 そんな意味の無い嘘をつくなよ!と軽口も叩きたかったけれど、単純にオレは喜んで、また勢いをつけてロイのお腹に飛び込む。「はやく!」 やさしい手ぐしに意識が度々遠のいて、視界が弛んだ円環を描き出した。 「エドは俺がいないとてんで駄目人間だな」 その言葉を否定するつもりだったのに、オレはもう眠くて眠くて抗議の言葉を生み出すのさえ億劫で、「うん・・・」と甘えた肯定をしてしまった。 そしたら頭上から降ってきた含み笑いがオレの頭を撫でて、オレの意識は1キロ先まで遠のいた。夢という名のゴール目前の意識の中で、ロイの先刻の言葉が蘇る。 ──だから、あんまり依存すんなって言いたいの、俺は。 (いぞん・・・依存)漢字に変換して、ようやくその言葉の意味を汲む。 長い指が髪を撫でるように梳く。頭部を包むあたたかい温もりが安眠をいざなう。 (おれは、いいんだけどな) ロイがいれば、別にいいんだけどな。味方とか相方は一人で十分だと、思うし。 「おれは、いいんだけどなぁ・・・」 小さなその声を聞き取って、ロイがドライヤーの<<off>>を押した。「え、なんだって?」 「ロイがいれば、いいんだけどなぁ・・・」意識がまたゴールへ近づいた。「相方はひとりでじゅうぶんです・・・」 そんなこと言ったら、ロイはまた怒るかな、と思ったけれど、「あっそ」呆れた声音のロイが、オレの後頭部を軽く叩いて、「まったく、この子ってば甘えんぼちゃんで困るわ」と、からかった。 こういう言葉がたまらなく好き。ライナスの毛布みたいに、オレをいつも優しく包んでくれる羽毛の言葉。寂しがり屋なオレは、それにくるまると、いたく落ち着く。 ロイがオレの頭をすっと撫でて、「はい、出来上がり」と言ったのを聞いて、オレの意識が少し手元へ戻ってきた。鉛のような瞼を必死にこじ開けて、脇のベッドへずるずる移動する。「ありがとー・・・」 ──慣れなくちゃいけないと思った。あの閉鎖的なぬくもりに。 慣れなくちゃ、慣れなくちゃ、だって、そうしないと、さみしくて、かなしくて、 (こわれそうだよ) (あの無機質な布団をあたためてくれる人はいないとおもった) (ずっと、いないとおもった) だから、慣れなくちゃいけないと思った。 自分が強くなればいい。だって、悪いのは全部自分だ。あまりに俊異な頭脳とか常軌から逸した容姿とか、そういうのを持て余している自分が悪い。 (わるいわるいわるい、おれが) そうでもしないと、こわれそうだ。 (わるいのはおれ) その思想が、一番の逃げ道。 そんな事を、潜り込んだベッドの中で話した。 体温を共有するこの空間、布団は二人分、あたたかい。 ロイは、ふーん、と興味津津なのか索然なのか量りあぐねるような声音でそう相槌を打って、右目を少しこすった。 「エドはつよいな」 その意表を突かれた台詞にぱっとオレは反応して、抗議した。 「つよくないよ、オレは逃げようとしたんだから」 「じゃあよわい」 「なんだよそれ!」 オレが身を少し起こして不機嫌に反発したら、ロイが左手でオレの頬に触れた。「ごちゃごちゃ考えんなよ」 接触したそのオレよりひとまわりぐらい大きい手に、オレは一瞬却行したけれど、すぐに脱力した。ロイの手は熱くも冷たくもなく、オレの体温と至極近しい温度だったので、頬と掌が溶け合うような感じだった。 「過去なんて観賞用だ。くだらないセンチメンタルに囚われんな。今、エドは俺の隣のここにいて、未来のエドは多分ここで眠って多分朝を迎える、それに何か問題があるのか?」 時々ロイは、この天才(つまりオレ)にも意味が解しがたいような、難解なことを言う。 「・・・・ない、です、たぶん」 「たぶん?」 「ないです!」 「それなら寝ろ。90パーセントぐらいの確率で訪れるだろう己の未来に身を委ねたまえ」 「・・・なにそれ・・・へんなの。あとの10パーセントはなに」 「事故とか、火事とか、そういう予期せぬ災厄とか事態」 「へえ・・・」 起こしていた上半身をまたベッドの上に横たわらせて、オレの頬に触れていたロイの手を握って、へへ、と笑った。「ねむーい・・・」 「・・・エドはこういう境界線鈍いよな・・・」 呆れた表情で溜息のように吐き出された言葉に、オレは「?」マークを浮かべた。 「男友達同士で、こんなことしないのですヨ、普通・・・変よ、これ、変。一緒のベッドで寝るのだけでも変だけどな。あまつさえ手を繋ぐなんてコレ誤解されても文句言えん。少なくとも他の家でやらないほうがいい」 「そうなの?」 「そうなの」 うーん、離した方がいいのかな・・・。女子は結構、手とか繋いだりするの見たことあるけど、男子はそういうの無いのか。ふぅん、ボクはまたひとつ賢くなりました。 繋いだ手を、少し躊躇った。 (やっぱり変かな・・・) でも、「別にいいけどね」と言って、ロイが握り返してくれたので、オレはほっとして、笑んだ。 「・・・もうちょっと、そっちに寄ってもいいです、か・・・」 夜は人肌が恋しくなる。二人分の体温であたたまった布団がオレの背中を押す。 今日の喧嘩の、さみしい気持ちも嫌だったし、“観賞用”の過去の話をしたオレは、やっぱりちょっとセンチで、かなしくなった。 こんな日がもう来ないといいな。 一も二もない、うんいいよ、というロイの快諾に甘えて、すす、と身体を移動して頭を摺り寄せた。 男友達って、こんなに良くて安心するものなのか。 これまでにも、欲しかったな。 でも、いいや。 大事なのは未来だ。 まだちょっと信じられないけど── いつもは知らん振り顔をする布団と仲良しになれそうで、二人分の温度は何十倍もあたたかくて、呼吸の音も心拍も二つずつ共鳴する。 それが嬉しくて、あたたかくて、眠るのが勿体無い気がした。 (あらわれた) あらわれたよ。 (“無機質な布団をあたためてくれる人”) やっと会えた。 “幸せな日”が終わりを告げた。 90パーセントぐらい確実に訪れる明日には、雀を見ることができるだろうか? *** ぶっ、と、食堂の日替わりランチについてくるお吸い物を噴出したのはブロッシュだ。 「わ!きったねえなッ!」 向かいに座っていたオレとロイが同時に後ろへ仰け反って、飛散した汁を回避した。 そのブロッシュは、しばし目を見張ったまま黙って、幽霊でも見るかのような目でオレたちを一瞥し、ゆっくりと口を開いた。 「ど、ど、同棲?」口角からお吸い物が垂れている。きたねー食い方だな! 「物騒な単語を使うな!」ブロッシュの撒き散らした汁を避ける為にオレが一つ脇の席へ移動しながら抗議の意を唱えた。「長期のお泊り会だ!」 「同棲じゃん・・・」と呟いたブロッシュがはっとして、「あ、聞いて、『同性』同士の『同棲』!ナイス駄洒落!」と、ナイスで駄な洒落という、矛盾した言葉を語尾につけてクソみたいな洒落をはなった。 「お前芸人だけにはならないほうがいいよ、深刻に。死を見る」 冷静なアドバイスを入れるロイも綺麗なテーブルの方へ移り、それに伴って張本人のブロッシュもオレたちの方へ移動した。 なんでも、昨日ブロッシュがオレの家の宅電に電話をかけたらしく(オレの携帯番号がわからなかったらしいので、緊急連絡網から)、当然ロイ宅で寝泊りしているオレがでるはずもないので、食事中にその話題が上って、オレたちの同棲疑惑が浮き彫りになったって次第だ。 「別に女子としてるわけじゃあるまいし、そんな騒ぐことでもねーだろ!」 本日の日替わりランチメニューのとりたつたを頬張りながら、オレが言った。 「いや、お前らだとなーんか騒ぎたくなるんだよな・・・単刀直入にいえば、ホモっぽいのな」 「冗談・・・ロイエド党だけでげんなりしてんだから、ブロッシュまでさ・・・」とりたつたに下品に割り箸を突き刺したまま、うなだれた。 「残念ながら俺は男に興味はないです」主食の鶏肉を食べ終えたロイは、傍らに添えられたキャベツの千切りを几帳面に食べる。 「なんだよロイばっかり!やっぱり顔かー!顔なのかぁあぁ!でも顔では確かに劣るかもしれないが、エドちゃんへの愛では負けてないぜ・・・!俺もエドちゃんと同棲するー!!俺は男でも全然オッケィだよエドちゃんならっ!きゃっ」 おどけて両手で顔を覆いながら嬉々と同棲に立候補する(そしてこいつはよく喋る)ブロッシュにひとしきり萎えた後、説いた。 「馬鹿言え。あのな、オレはロイにはブロッシュなんかとは全ッ然比にならないぐらいの信を置いてるの!このピアスがその証拠でございますな!お前なんか危なくってしゃーねーよ、ったく」 滔滔と説諭を受けたブロッシュは拗ねるかと思ったけれど、意に反して哀れんだ表情を浮かべて、「ロイ・・・お前って奴は不憫なやつだな・・・こんな天然に振り回されて」と吐いた。 何ィ!と憤るオレを尻目に、「余計なお世話だ、俺は男には興味ないっつの。何度言えばわかるんだ」ロイは楚々とあしらった。が、眉間に皺を寄せたブロッシュが「・・・何、お前、もしかしてインポテン」言い終わらないうちにロイが箸で投げたトマトが顔に当たって会話が途切れた。 「若しくは真性包け」トマトがもう一つブロッシュの顔に投げられた。グチャ。「・・・すみませんもう言いませんだからティッシュをください」 「わかったならよし」いつもロイが残すトマトが掃除されたので、ロイの皿は綺麗に空になった。 7月下旬、もう間もなく生徒たちが待ちわびる夏の長期バケイション、“夏休み”がやってくる。な、つ、や、す、み。うーん、なんて甘美な響きなのかしら!トレビアン! その甘美な響きに周りがそわそわし始める、終業式の一週間前、 『1年10組、ロイ・マスタング、エドワード・エルリック、至急生徒指導室へ』。 久方ぶりの呼び出しが掛った。ピアスの一件ぶりだ(とは言っても先月の話)。 まったくこの大いに品行方正成績優秀なオレたちになんの文句があるのかと、クラスのケラケラという哄笑に背中を押され、唇を尖らせながら不承不承指導室へ向かう。 「健闘を祈るぜ!」と喚いたブロッシュには奴が萎縮するほどの睨みを一発食らわせておいた。 「・・・っしまーす」訳、『失礼します』。 ダブったオレたちの声を聞いて、中で待ち構えていた担任のワイマールが顔をあげた。そしてその顔で早々と呆れ果てた表情を呈した。 「・・・お前ら・・・」 溜息混じりに漏らされるその声を不思議に思ったオレは、「なんすか、もう帰りたいんですけど」とご機嫌斜めに言い放った。 「スーパーが閉まると困るんだ、ああ、特売の時間が終わってしまう」ロイも静かに教師を急かす。『早く帰らせろ。一人暮らしは辛いんだよ』 「もうすぐ夏休みだなぁ・・・」担任は窓外の遠方を眺めながら、呑気に言う。だんだんと、堪忍の緒が千切れそうになる。 「だからなんだ」「はやくしてくれよなぁー!」 ブーブー非難を撒き散らすオレたちを横目でちらりと見て、 「ただし、お前たちは夏休み学校に来てもらう」 死刑宣告のように辛辣な言葉を吐き出した。 「「な、なんで!」」 オレ達は突如狼狽しはじめた。それも当然だ、夏休みがないだとぅ!? 教師は黙ってノートのようなものを広げて、オレたちの“提出物一覧”を見せた。 提出した物の欄が蛍光ペンでマメにマークされたその名簿の、オレとロイの欄だけは一列全部、真っ白だった。 お見事。 「お前らこれで夏休みを迎える気だったのか?」 「んもうそりゃバリバリ」「当然だ」 首をやれやれと言わんばかりに振るワイマールに、「でも、今わかったことがひとつあります」と、凛と言い放った。 「ロイはオレを決して裏切らない」「同感」 そんなところで意気投合せんでいい、とワイマールは気を滅入らせた。 「とにかく、これが終わるまで、お前らに夏休みはない」 こういうとき、生徒の権力の弱さを思い知る。 ちくしょう・・・。 そんな感じで、今年も夏休みがやってくる。 残念ながら強制通学という処分的な課題を申し渡されたけれども── 隣で一緒に肩を落とす奴がいる。 それならたぶん、罰の通学だって楽しいんだ。 「ほら!閉店時間に間に合わねーだろ!急げー!」 例によってチャリンコの荷台に立ちながら、前方を指差してロイを急く。スーパーは駅から自転車で10分弱。かなり日が長くなったとはいえ、もう辺りはほの暗い闇のコートを纏っている。 自分で調理をしない日は、大抵スーパーの惣菜かコンビニ弁当に頼ることが多い。最近のコンビニ弁当はかなり美味だけれどもいかんせん毎日だとさすがに飽きる。ので、今日は惣菜だ。オレもカレーばっかりじゃなくて、他の料理も覚えようかしら。 「ゴー!ゴー!郷ひろみ!」 オレがやかましく叫ぶとロイの足がピタリと静止した。 「寒くて漕げません足が凍ります先生」「うんごめん確かに今のは寒かったね」 そのセンスのなさブロッシュと張るぞ、と言いながらペダルを踏む。これは車でいうアクセルだ。 ロイがアクセルを強く踏むと、息を潜めていた景色がわあっと動き出す。 躍動している、同じ景色が二人の視界に入る。顔にあたる風も同じ。耳に感じる気温や街の喧騒も、一緒だ。 こんなにも“時”を共有する。 相方っていうのは、こうでないと、ね。 ブレーキなんて要らない。このまま走り続ければいい。 共有する“時”を感じて、オレは嬉しくなって、ロイの首に腕をまわした。 ロイが小さくうめいた。「はなれろ漕ぎにくい!」 知ったこっちゃない。 後ろの景色はもう“過去”だ。観賞用のものだけれども、振り返って眺める必要もない。 だって、どんどん新しい景観がやってきて、オレ達を“未来”に置き去りにしていくから。前に広がる景観はきっと“未来”だ。 銀色の変速付き自転車は、上手い具合にしっかりと機能し、オレ達二人を乗せて過去から未来へとぐんぐん疾駆する。 こうしてオレたちは、90パーセントぐらい確実な明日へと走っていく。 |